テレメータ心電図モニタで心電図をモニタしていた。テレメータの入力回路の入力インピーダンスは10Mオームで、両電極の生体接触インピーダンスはそれぞれ50Kオームであった。このテレメータの電極リード差し込口に生理食塩液が垂れて、差込口間の抵抗が20Kオームになった。この場合、受信モニタで観察されるR波の大きさは本来の何%になるか?

≪図1:生理食塩液を垂れる前の等価回路≫
≪教科書的考え方≫
生理食塩液を垂れる前のテレメータに入力される心電図電圧(R波)を求めます。
人体とテレメータの等価回路は図1のように表せます。
直列回路内では抵抗の大きさに比例して電圧は分配されるので、生体接触インピーダンスとテレメータの入力インピーダンスの抵抗のより大きな方に電圧は分配されます。
心起電力を”E”と表すとテレメータに入力される電圧(R)は、直列回路全体の抵抗に対するテレメータの入力インピーダンスの抵抗値で表されるので
電圧(R)=10M/(50k+50k+10M)×E
=10^6/(100^3+10^6)×E
=0.990×E
となり、心起電力Eの99%がテレメータに入力されることがわかります

≪図2:生理食塩液を垂れた時の等価回路≫
では、生理食塩液が垂れた時のテレメータに入力される心電図電圧(R波)はというと、
等価回路では、図2のように表せます。
並列回路内では電圧は一定であり、直列回路内では抵抗の大きさに比例して電圧は分配されるので、生食の垂れた差込み口とテレメータの入力部の並列回路の合成抵抗と生体接触インピーダンスの抵抗のより大きな方に電圧は分配されます。
生食の垂れた差込み口とテレメータの入力部の並列回路の合成抵抗をRsとすると
Rs=20k×10M/(20k+10M)
=(20^3×10^6)/(20^3+10^6)
=19960 Ω

≪図3≫
心起電力を”E”と表すとテレメータに入力される電圧(R)は、直列回路全体の抵抗に対する合成抵抗Rsの抵抗値で表されるので(図3)
電圧(R)=Rs/(50k+50k+Rs)×E
=19960/(100^3+19960)×E
=0.166×E
となり、心起電力Eの16.6%がテレメータに入力されます。
本来(生理食塩液を垂れる前)と比べると
電圧(R)=0.166・E/0.990・E×100 [%]
=16.8 [%]
よって、受信モニタで観察されるR波の大きさは本来(生理食塩液を垂れる前)の
16.8%
となります。
≪試験的考え方≫
真面目に計算すると上記のような計算となるのですが、たった一問のためにこのよう計算はやってられないので試験的な解き方を書きます。基本的な考え方は同じです。
生理食塩液を垂れる前のテレメータに入力される心電図電圧(R波)を求めます。
直列回路内では抵抗の大きさに比例して電圧は分配されるので、生体接触インピーダンスとテレメータの入力インピーダンスの抵抗のより大きな方に電圧は分配されます。
生体接触インピーダンスは50kΩ+50kΩ=100kΩ=0.1MΩ
入力インピーダンスは10MΩ
生体接触インピーダンス(0.1MΩ) << 入力インピーダンス(10MΩ)
生体接触インピーダンスに比べテレメータの入力インピーダンスが非常に大きいので、
計算せずともほぼ100%心起電力の電圧をテレメータに入力できているといえます。
次に生理食塩液が垂れた時のテレメータに入力される心電図電圧(R波)はというと
まず、並列回路内の合成抵抗を考えます。
生食の垂れた差込み口は、20kΩ(0.02MΩ)、テレメータの入力部の抵抗値は10MΩです。
並列回路内の電流は抵抗値の小さい方に流れますので
生食の垂れた差込み口(0.02MΩ) << テレメータの入力部(10MΩ)
ほとんどの電流は抵抗の低い生食の垂れた差込み口に流れ、テレメータの入力部にはほとんど流れない、断線にほぼ近い状態でテレメータの入力部の抵抗は無視できます。
なので、並列回路の合成抵抗Rs≒20kΩ
(※ ちなみにテレメータの入力部には断線ではないので生食の垂れた差込み口と同じ電圧が入力されています)
心起電力を”E”と表すとテレメータに入力される電圧(R)は、直列回路全体の抵抗(生体接触インピーダンスと合成抵抗Rs)に対する合成抵抗Rsの抵抗値で表されるので(図3)
電圧(R)=Rs/(50k+50k+Rs)×E
=20k/(100k+20k)×E
=20^3/(100^3+20^3)×E
=0.167×E
生理食塩液を垂れる前のテレメータに入力される心電図電圧(R波)は、ほぼ100%(1.0×E)であるため、
受信モニタで観察されるR波の大きさは本来(生理食塩液を垂れる前)の
16.7%
となります。
長々となりましたが、こんな感じです
わからない部分があればお気軽にお尋ね下さい。

≪図1:生理食塩液を垂れる前の等価回路≫
≪教科書的考え方≫
生理食塩液を垂れる前のテレメータに入力される心電図電圧(R波)を求めます。
人体とテレメータの等価回路は図1のように表せます。
直列回路内では抵抗の大きさに比例して電圧は分配されるので、生体接触インピーダンスとテレメータの入力インピーダンスの抵抗のより大きな方に電圧は分配されます。
心起電力を”E”と表すとテレメータに入力される電圧(R)は、直列回路全体の抵抗に対するテレメータの入力インピーダンスの抵抗値で表されるので
電圧(R)=10M/(50k+50k+10M)×E
=10^6/(100^3+10^6)×E
=0.990×E
となり、心起電力Eの99%がテレメータに入力されることがわかります

≪図2:生理食塩液を垂れた時の等価回路≫
では、生理食塩液が垂れた時のテレメータに入力される心電図電圧(R波)はというと、
等価回路では、図2のように表せます。
並列回路内では電圧は一定であり、直列回路内では抵抗の大きさに比例して電圧は分配されるので、生食の垂れた差込み口とテレメータの入力部の並列回路の合成抵抗と生体接触インピーダンスの抵抗のより大きな方に電圧は分配されます。
生食の垂れた差込み口とテレメータの入力部の並列回路の合成抵抗をRsとすると
Rs=20k×10M/(20k+10M)
=(20^3×10^6)/(20^3+10^6)
=19960 Ω

≪図3≫
心起電力を”E”と表すとテレメータに入力される電圧(R)は、直列回路全体の抵抗に対する合成抵抗Rsの抵抗値で表されるので(図3)
電圧(R)=Rs/(50k+50k+Rs)×E
=19960/(100^3+19960)×E
=0.166×E
となり、心起電力Eの16.6%がテレメータに入力されます。
本来(生理食塩液を垂れる前)と比べると
電圧(R)=0.166・E/0.990・E×100 [%]
=16.8 [%]
よって、受信モニタで観察されるR波の大きさは本来(生理食塩液を垂れる前)の
16.8%
となります。
≪試験的考え方≫
真面目に計算すると上記のような計算となるのですが、たった一問のためにこのよう計算はやってられないので試験的な解き方を書きます。基本的な考え方は同じです。
生理食塩液を垂れる前のテレメータに入力される心電図電圧(R波)を求めます。
直列回路内では抵抗の大きさに比例して電圧は分配されるので、生体接触インピーダンスとテレメータの入力インピーダンスの抵抗のより大きな方に電圧は分配されます。
生体接触インピーダンスは50kΩ+50kΩ=100kΩ=0.1MΩ
入力インピーダンスは10MΩ
生体接触インピーダンス(0.1MΩ) << 入力インピーダンス(10MΩ)
生体接触インピーダンスに比べテレメータの入力インピーダンスが非常に大きいので、
計算せずともほぼ100%心起電力の電圧をテレメータに入力できているといえます。
次に生理食塩液が垂れた時のテレメータに入力される心電図電圧(R波)はというと
まず、並列回路内の合成抵抗を考えます。
生食の垂れた差込み口は、20kΩ(0.02MΩ)、テレメータの入力部の抵抗値は10MΩです。
並列回路内の電流は抵抗値の小さい方に流れますので
生食の垂れた差込み口(0.02MΩ) << テレメータの入力部(10MΩ)
ほとんどの電流は抵抗の低い生食の垂れた差込み口に流れ、テレメータの入力部にはほとんど流れない、断線にほぼ近い状態でテレメータの入力部の抵抗は無視できます。
なので、並列回路の合成抵抗Rs≒20kΩ
(※ ちなみにテレメータの入力部には断線ではないので生食の垂れた差込み口と同じ電圧が入力されています)
心起電力を”E”と表すとテレメータに入力される電圧(R)は、直列回路全体の抵抗(生体接触インピーダンスと合成抵抗Rs)に対する合成抵抗Rsの抵抗値で表されるので(図3)
電圧(R)=Rs/(50k+50k+Rs)×E
=20k/(100k+20k)×E
=20^3/(100^3+20^3)×E
=0.167×E
生理食塩液を垂れる前のテレメータに入力される心電図電圧(R波)は、ほぼ100%(1.0×E)であるため、
受信モニタで観察されるR波の大きさは本来(生理食塩液を垂れる前)の
16.7%
となります。
長々となりましたが、こんな感じです
わからない部分があればお気軽にお尋ね下さい。
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この記事へのコメント
はじめまして.
>等価回路では、図2のように表せます。
これはなぜでしょうか.問題から,抵抗が20kΩ,つまり10M→20kになったから,これは抵抗が並列に入った,と考えるのでしょうか.
>等価回路では、図2のように表せます。
これはなぜでしょうか.問題から,抵抗が20kΩ,つまり10M→20kになったから,これは抵抗が並列に入った,と考えるのでしょうか.
2011/06/08(水) 11:19:40 | URL | tester #-[ 編集]
testerさん、はじめまして
端的にいいますと、電極リード差し込口からテレメータを通る道以外にテレメータをショートカットする近道ができたので並列回路で示しています。
生理食塩液が垂れる前の電極リード差し込口からテレメータに入力される電流の流れは、電極リード差し込口⇒テレメータ⇒電極リード差し込口という1つの流れしかなかったのですが、
生理食塩液が垂れたことにより、
電極リード差し込口⇒テレメータ⇒電極リード差し込口
と
電極差込口⇒生理食塩液⇒電極リード差し込口
という電極リード差し込口間に2つの経路ができたため並列回路で表しています。
これは、テレメータの入力インピーダンスが10MΩが20kΩになったという意味ではなく、生理食塩液により電極リード差し込口がショート(短絡)してテレメータの入力回路を通らないの別の電流の流れ(20kΩ)ができたという意味です。
この説明で分かったって頂けたでしょうか?
あまり説明が上手くないのでわからなければ、又返信して下さい
端的にいいますと、電極リード差し込口からテレメータを通る道以外にテレメータをショートカットする近道ができたので並列回路で示しています。
生理食塩液が垂れる前の電極リード差し込口からテレメータに入力される電流の流れは、電極リード差し込口⇒テレメータ⇒電極リード差し込口という1つの流れしかなかったのですが、
生理食塩液が垂れたことにより、
電極リード差し込口⇒テレメータ⇒電極リード差し込口
と
電極差込口⇒生理食塩液⇒電極リード差し込口
という電極リード差し込口間に2つの経路ができたため並列回路で表しています。
これは、テレメータの入力インピーダンスが10MΩが20kΩになったという意味ではなく、生理食塩液により電極リード差し込口がショート(短絡)してテレメータの入力回路を通らないの別の電流の流れ(20kΩ)ができたという意味です。
この説明で分かったって頂けたでしょうか?
あまり説明が上手くないのでわからなければ、又返信して下さい
2011/06/09(木) 01:17:04 | URL | 左手 #l.rsoaag[ 編集]